NICOLAS
原題:La Classe de neige
英題:NICOLAS
製作年:1998年
日本公開:2000年04月01日
製作国:フランス
言語:フランス語
画面:1:2.35シネマスコープ
音響:ドルビーデジタル
上映時間:96分
提供:日活株式会社
   シネマパリジャン
配給:シネマパリジャン

【スタッフ】
監督:クロード・ミレール
製作代表/製作総指揮:レ・フィルム・ド・ラ・ボワシエール
           アニー・ミレール
共同製作:ワーナー・ブラザース・PECF
     FR3 シネマ
     ローヌ・アルプ・シネマ
原作:エマニュエル・カレール
   (「冬の少年」河出書房新社刊)
脚色・台詞:エマニュエル・カレール
      クロード・ミレール
キャスティング・ディレクター:マリー=クリスティーヌ・ラフォス
製作マネージャー:シルヴェストリ・ガリノ
撮影監督:ギヨーム・シフマン
音響技師:ポール・レーヌ
メイキャップ・スーパーバイザー:リュシア・ブルトンヌ=メンデーズ
衣裳デザイン:ジャクリーヌ・ブシャール
衣裳チーフ:カトリーヌ・ブシャール
アート・ディレクター:ジャン=ピエール・コユット=スヴェルコ
フィルム編集:アンヌ・ラファルジュ
音編集:クレマンス・ラファルジュ
音楽:アンリ・テクシエ

【キャスト】
ニコラ:クレマン・ヴァン・デン・ベルグ
オドゥカン:ロックマン・ナルカカン
パトリック先生:イヴ・ヴェローヴェン
グリム先生:エマニュエル・ベルコ
父親:フランソワ・ロイ
母親:ティナ・スポルトラロ
リボトン:ブノワ・エルラン
リュカ:ジュリアン・ル・ムエル
マリー=アンジュ:シャンタル・バンリエ
警官1:ロイック・ピション
警官2:ティエリー・レドレル
医師:ジャン=クロード・フリサン
訪問者:イヴ・ジャック
カフェ店員:アントワーヌ・ムソー
事故現場の警官:アラン・ペイヤン
ジーンズの男:ギ・ジャック
サービス・ステーションの店員:ヴァレリー・ベタンクール
洋品店のアシスタント:アンテア・ソニョ
見知らぬ美女:セシル・シメオヌ
ニコラの弟:トム・ジャコン
カフェ店主の妻:サブリナ・セリュジエ

【ストーリー】
 ニコラは内向的な12歳の少年。医療器具のセールスマンをしている父親は、ニコラに対して厳格であると同時に、異常なまでの愛情をみせていた。クラス全員参加のスキー教室の説明会が、担任のグリム先生から行われた時も、最近起こったスクールバスの事故で、乗っていた生徒の多くが死傷したニュースを持ち出して、ニコラを自らの車で送ることを主張するのだった。
 一方、ニコラは、このスキー教室に参加することに、父親とは別の意味で気後れしていた。彼にはおねしょの癖があったからだ。父親が運転する車中でも、彼の頭には恐ろしい妄想が渦巻く。
 宿舎ではグリム先生とパトリック先生がニコラの到着を待っていた。送り届けた父親の先生に対する態度はどこまでも陰険だ。父親が帰ったのち、ニコラは用意してきたパジャマや下着を入れたカバンを、車のトランクの中に置き忘れてしまったことに気づく。先生の呼びかけで、クラス一の悪戯っ子オドゥカンが持ってきていた予備のパジャマを借りることにした。そして内向的なニコラの気持ちを和らげようと、パトリック先生は、念じれば必ず願いが叶うというミサンガを彼にプレゼントする。
 その夜、ニコラはオドゥカンに、自分の父親が義足や義手を売る仕事をしていることを打ち明ける。オドゥカンが寝入った後も、ニコラは父親が聞かせてくれた臓器売買の話を思い返し、悪夢にうなされるのだった。
 昼間もふとした瞬間に夢想世界に入りこむニコラ。そして幾度も繰り返されるのは、父親が事故死するという場面…。
 そんなある日、隣町でニコラたちと同じ年頃の少年が行方不明になった。このことを知らされたニコラは、ふたりだけの秘密だといって、臓器売買商人の仕業にちがいないと、オドゥカンに打ち明けた。そして自分の父親が彼らを追跡しているのだと。そして、行方不明の少年は他殺体で発見され、その遺体には悪戯された痕跡があったという悲惨な結果が知らされる。
 その夜、宿舎ではささやかなダンスパーティが開かれた。そこへ数人の警官が犯人捜索の聞き込みで訪ねてくるが、あまり時間をかけずに帰っていった。ところがオドゥカンは、この警官たちを待ち伏せして、ニコラから聞いた作り話を密告してしまう。それをオドゥカンの口から聞いたニコラは、ショックのあまり気を失ってしまうのだった。
 翌日、生徒全員とパトリック先生がスキーに出かけてしまい、ニコラとグリム先生だけが取り残された宿舎に電話が鳴り響く。受話器をとったグリム先生は、知らせに泣き崩れる。ニコラは、廊下からすりガラス一枚隔てたグリム先生のシルエットを見つめていた。彼はまだ現実の恐怖を、本当は知らないはずだった……。
 次の日、パトリック先生に連れられて、ニコラは宿舎を後にした。父親と来た同じ道を、二人を乗せた車は戻っていく。途中で立ち寄ったドライブインで、ニコラが目にしたのは、テレビに映し出された男――数人の男たちに囲まれて、コートを頭からすっぽり被り、今まさにパトカーに乗り込もうとするその男は、まぎれもなく彼の父親だったのだ。
 その映像を目にしたあとで、ニコラは、ひとりの若く美しい母親に気をとめる。赤ん坊をあやしている彼女に、ニコラは声をかけたいという衝動にかられ、実際にそうしているところを想像してみた。彼はその母子に、自分が望んでも決して得ることのない親子の調和を感じ取っていたのだった。パトリック先生の声に、ニコラは夢想から我に帰った。次の瞬間、腕からミサンガがするりとちぎれて落ちた。
 そのころオドゥカンはグリム先生から呼ばれて、教員室のテレビに見入っていた。ニコラが見ていたのと同じ場面を、まばたきひとつせず、険しい表情で。

【受賞歴】
1998年カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞
1999年フィレンツェ映画祭グランプリ
1999年フランス映画祭横浜招待上映作品
1999年カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭最優秀脚本賞受賞