BAGDAD CAFE
原題:Out of Rosenheim
英題:BAGDAD CAFE
日本公開:1989年3月4日
製作国:西ドイツ/アメリカ
言語:英語/ドイツ語
画面:ヴィスタビジョン
音響:DTS,SRD,SR
上映時間:95分
配給:KUZUIエンタープライズ

【スタッフ】
監督:パーシー・アドロン
脚本:パーシー・アドロン
   エレオノーレ・アドロン
製作:パーシー・アドロン
   エレオノーレ・アドロン
撮影:ベルント・ハインル
編集:ディートリッヒ・V・ヴァッツドルフ
美術:ベルント・A・カプラー
   ビナデッド・デ・サント
音楽:ボブ・テルソン
主題歌:ジュヴェッタ・スティール「コーリング・ユー」

【キャスト】
ジャスミン:マリアンネ・ゼーゲブレヒト
ブレンダ:CCH・パウンダー
ルディ:ジャック・パランス
デビー:クリスティーネ・カウフマン
フィリス:モニカ・カローン
サルJr.:ダロン・フラッグ
カヘンガ(バーテン):ジョージ・アキラー
サル:G・スモーキン・キャンベル
ムンシュテットナー:ハンス・シュータードルヴァー
エリック:アラン・S・クレイグ
アーニー(保安官):アペサナクワット

【ストーリー】
 アメリカ、ラスヴェガスとロサンゼルスを結ぶ道すじにあるモハーヴェ砂漠のはずれ。すぐ脇のハイウェイを疾走していくトラック、風に飛ばされる黄色い砂にさえとり残された、寂しげなモーテル、”バグダッド・カフェ”。ここをきりもりしているのは黒人女のブレンダだ。役に立たない夫、自分勝手な子どもたち、使用人、モーテルにいついた住人たちにまで、彼女はいつも腹を立てている。そこへある日、ひとりの太ったドイツ女がやってきた。彼女の名はジャスミン。大きなトランクを提げ、スーツを着こみ、砂ぼこりの道をハイヒールで歩いてきたこの奇妙な客に、不快な表情を隠そうともしないブレンダには想像もつかなかった。ジャスミンが、さびれた”バグダッド・カフェ”を砂漠の中のオアシスに変貌させることになろうとは……。
 そこまでもたぶん順調な旅ではなかったに違いない。ドイツ、ミュンヘン近郊の片田舎、ローゼンハイムからアメリカに観光旅行にやってきたムンシュテットナー夫妻、ついにディズニーランドからラスヴェガスに向かう途中で夫婦ゲンカになった。砂漠の真ん中で車から降りてしまったジャスミン(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)は、夫(ハンス・シュタードルバウアー)と別れ、重いトランクを提げてあてどもなく歩きだした。
 やっとの思いでたどりついたのは、さびれたモーテル兼カフェ兼ガソリンスタンドだった。ハイウェイの脇に建つ、その名も”バグダッド・カフェ”。「部屋をかりたい」とたどたどしい英語で話しかけるジャスミンに、不機嫌な女主人は迷惑そうな表情を隠そうともしなかった。彼女ブレンダ(CCH・パウンダー)もノロマな亭主サル(G・スモーキー・キャンベル)を、たった今追い出したところだったのだ。
 それでなくてもブレンダには面白くないことがあまりに多すぎた。客が来ないのをいいことに昼寝ばかりしているバーテン(ジョージ・アキラー)。息子のサルJr.(ダロン・フラッグ)は自分の赤ン坊の面倒も見ずに、店の隅のピアノで一日中バッハばかり弾いて彼女の神経を逆撫でする。娘のフィリス(モニカ・カローン)も店の手伝いどころか、声をかけてくる男たちにほいほいついて行ってしまうハネッカエリだった。
 モーテルについた客がこれまた奇妙なのばかりだった。トラック野郎相手の女刺青師デビーは誰とも口をきかず、なにを考えているのかわからない。ハリウッドから流れてきたカウボーイ気取りの画家ルディ(ジャック・パランス)はなぜだかここの雰囲気が気に入っているようだ。ジャスミンが増えただけでもイラついているところへもってきて、お次は「テントを張らせてくれ」とヒッチハイカーのエリック(アラン・S・クレイグ)までやってきた。
 それでも客は客。うんざりしながらもジャスミンの部屋の掃除に行ったブレンダは、広げられた荷物を見て仰天した。服も日用品も全てLLサイズの男物。彼女は間違って夫のトランクを持ってきてしまったのだ。事情を知らないブレンダは、なんとかこの薄気味悪い大女を追い出そうと、保安官(アペサナクワット)を呼んだ。だがきちんと部屋代を払い、パスポートも帰りの航空券も所持している彼女を追い出すわけにはいかなかった。
 ブレンダが町に用足しに行っている間に、清潔好きなジャスミンがモーテルの事務所からカフェの看板にいたるまで大掃除をしてしまったことで、とうとうブレンダのたまりにたまった怒りが爆発した。
 怒り狂うブレンダには誰も手がつけられなかった。話し相手もなく部屋に閉じこもり、女主人の怒りをやり過ごすジャスミンの慰めは、ディズニーランドみやげの手品セットだけ。しかしその頃から、ブレンダがいつか失くしていた包容力を求めるように、サルJr.とフィリスが彼女の部屋をたびたび訪れるようになった。そして彼女の柔和な人柄と笑顔に魅かれたルディは絵のモデルに、とジャスミンを口説き始める。
 ある朝、カフェの客に簡単な手品を披露したジャスミンはその成功に気をよくし、次々と新しい技を覚え始めた。”バグダッド・カフェ”にはジャスミンの手品目当ての客がやってくるようになり、最初はただあっけにとられていたブレンダの表情が柔らかくなっていくのに時間はかからなかった。保安官が訪ねてきたのはそんな矢先のこと。すっかりカフェの一員になったジャスミンへの質問は「ビザは? 労働許可証(グリーン・カード)は?」
 顔を見合わせるブレンダとジャスミン、いつの間にか二人は離れがたい思いに結ばれていたのだが……。

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