La Nuit américaine,
原題:La Nuit américaine,
英題:DAY FOR NIGHT
フランス公開:1973年5月24日
日本公開:1974年9月14日
製作国:フランス
言語:フランス語
上映時間:115分
配給:ワーナー・ブラザース映画

【スタッフ】
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー
   ジャン=ルイ・リシャール
   シュザンヌ・シフマン
製作総指揮:マルセル・ベルベール
プロダクション・マネージャー:クロード・ミレール
撮影:ピエール=ウィリアム・グレン
美術:デミエン・ランフランチ
編集:マルチーヌ・バラクー
衣装:モニク・ダーレイ
メイク:フェルナンド・ヒュージ
    チ・ロアン・ニュイエン
ヘアドレッサー:マーロー・ロージノル
音響:ルネ・レベール
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
録音調整:アントワーヌ・ボンファンティ
宣伝担当:ハント・ドーンズ
     アンディ・ピルグリム
     クリスチーヌ・ブリエール
助監督:シュザンヌ・シフマン
    ジャン=フランソワ・ステファニン

【キャスト】
ジュリー・ベーカー:ジャクリーン・ビセット
アレクサンドル:ジャン=ピエール・オーモン
セヴリーヌ:ヴァレンティナ・コルテーゼ
ベルトラン:ジャン・シャンピオン
リリアーヌ:ダニ
アルフォンス:ジャン=ピエール・レオ
ステーシー:アレクサンドラ・スチュワルト
フェラン監督:フランソワ・トリュフォー
オディール:ニク・アリギ
ジョエル:ナタリー・バイ
ネルソン(医者):デビッド・マーカム
ベルナール:ベルナール・メネズ
ガストン:ガストン・ジョリー
ガストンの妻:ゼナイッド・ロッシ

【受賞歴】
<受賞>
1973年第46回アカデミー賞:最優秀外国語映画賞
1973年第27回英国アカデミー賞:作品賞/監督賞/助演女優賞
1973年第39回ニューヨーク映画批評家協会賞:作品賞/監督賞/助演女優賞
1973年第8回全米映画批評家協会賞:作品賞
【ストーリー】
 「真実」と「真実らしくよそおわれたもの」とは、いつも裏と表をなしていて、それを見分けるのはむずかしい。ひょっとすると、真実らしく見せかけたものの中にこそホンモノの真実はあるのかも知れない。映画がちょうどそれだ。いまパリで新作をつくっている撮影所の内幕が、何より良きその見本とは言えまいか。
 その映画の監督の名はフェラン(フランソワ・トリュフォー)。主演スターは若手のアルフォンス(ジャン=ピエール・レオ)と、ベテランの俳優で映画では彼の父親役をやっているアレキサンドル(ジャン=ピエール・オーモン)、その妻に扮するセブリーヌ(ヴァレンティナ・コルテーゼ)、そしてヒロインを演じるジュリー(ジャクリーン・ビセット)――この三人。
 ジュリーの夫ネルソン(デビッド・マーカム)は医者だ。二年ほど前に彼女が神経衰弱になったときその治療にあたったのが彼で、それがロマンスのきっかけになったわけ。
 アルフォンスはこの撮影隊のスクリプト・ガール見習いのリリアーヌ(ダニ)に夢中だ。結婚を申し込んで彼女も承知してはくれたのだけれど、相変わらずいつも男に取りまかれていて、おかげでアルフォンスは嫉妬に悩まされっぱなし。
 アレキサンドルはゴシップをとても警戒していて、私生活はいっさい極秘にされているが、空港に恋人をむかえに来てイライラしてれば誰にだって目立ってしまう。しかもその恋人というのが若いブロンドの男ときては……。
 このほかにも驚くことはまだまだ沢山撮影中に起こっている。
 せっかく必死で撮ったファイト場面のフィルムが現像所のミスで台なしになったり、女秘書役で出演の娘(アレクサンドラ・スチュワルト)が、大きなお腹をわざわざ水着で現われて、たちまち妊娠中とバレてしまったり。
 監督のフェランはこれらの大混乱をなんとかうまく取り仕切ろうと懸命だが、その彼にしてからが、いつもセットの片隅で編み物をしている女の意味ありげな視線にあてられっぱなし。製作助手を夫にもつこの女は、映画界じゃあ誰でもが誰とでも気やすく寝るものと信じこんでいて、貞操観念ゼロに近いが、そのくせ自分は人一倍ヤキモチやきときてるから始末におえない。
 アレキサンドルとジュリーも、撮影が白熱化するとともにキャメラの前で演じる恋を実生活の中にまでもち込んでしまって、どうやら一時は本物とお芝居の区別がつかなくなったらしい有様だった。
 危険な車の暴走シーンを撮るためイギリス人のスタントマンがやとわれてきたのもその頃のことで、彼の男性美にリリアーヌがたちまちゾッコン。アルフォンスはあっさりフラれるハメとなった。
 監督の説明によれば、車の衝突シーンは”アメリカの夜”に撮影するという。撮るのは昼間だが、キャメラのレンズにフィルターをつけると出来上がりが夜に見える。本当の夜よりもよっぽどホンモノらしく見える。これはアメリカ映画の常套手段で、それでこれを”アメリカの夜”と呼ぶのだそうな。
 アルフォンスが主役をおりると言い出したのはこの頃だった。愛するリリアーヌが今度は大道具係と草むらのかげでイチャイチャしてるのを見てしまったからだ。
 そんな彼の子供じみたわがままを思いとどまらせたのはなんとジュリー。気がついたら彼女は彼の腕の中にいて、二人はその夜彼のベッドでとうとう夜明けをむかえてしまった。
 ジュリーが翌朝夫との別離を決意したのは、よほどその夜のアルフォンスとの経験が強烈だったからであろう。ところが、別居声明発表の直前、彼女はまたまた昔の病気がぶり返して神経がおかしくなり、はるばる夫のネルソン博士がその治療にとんできて、離婚声明などどこへやら。
 もっともドラマチックな事件がその直後に起こった。アレキサンドルが自動車事故で死んだのだ。一緒に乗っていた金髪の少年も重傷を負った。
 幸いアレキサンドルの出演場面は、最後の1シーンをのぞいて全部終わっていた。アルフォンスが背後から父親を射ち殺すシーンだ。どうせ背中を見せるだけだからと、さっそく代役が起用されて、無事撮影は終了した。
 撮影隊の解散するときがきた。ジュリーは夫といっしょに飛行機で発っていった。アルフォンスは日本でロケされる新作の出演をOKした。TVレポーターがやってきて大道具係にマイクを向けた。撮影中になにか困難な問題は起こりませんでしたか?という質問だ。
 大道具係は明るい微笑でそれに答えた。「なにもかもとてもうまくいったよ。我々がこの映画を楽しんで作ったように、お客さんもこの映画を楽しんで見てくれれば、それでもう何も言うことはないな……」と。

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