The Royal Tenenbaums
英題:THE ROYAL TENENBAUMS
米国公開:2001年12月06日
日本公開:2002年09月07日
製作国:アメリカ合衆国
言語:英語
画面:シネマスコープ・サイズ
音響:ドルビーSRD
上映時間:110分
製作:タッチストーン・ピクチャーズ
配給:ブエナビスタ

【スタッフ】
監督ウェス・アンダーソン
脚本ウェス・アンダーソン
   オーウェン・ウィルソン
製作ウェス・アンダーソン
   バリー・メンデル
   スコット・ルーディン
製作総指揮オーウェン・ウィルソン
   ラッド・シモンズ
撮影ロバート・D・イェーマン
プロダクション・デザイン:デヴィッド・ワスコ
編集:ディラン・ティチェナー
衣装デザイン:カレン・パッチ
音楽:マーク・マザースボウ
   エリック・サティ
音楽監修:ランダル・ポスター

【キャスト】
ロイヤル・テネンバウム:ジーン・ハックマン
エセル・テネンバウム(妻):アンジェリカ・ヒューストン
チャス・テネンバウム(長男):ベン・スティラー
マーゴ・テネンバウム(長女):グウィネス・パルトロー
リッチー・テネンバウム(次男):ルーク・ウィルソン
イーライ・キャッシュ:オーウェン・ウィルソン
ヘンリー・シャーマン:ダニー・グローヴァー
ラレイ・シンクレア:ビル・マーレイ
ダスティ:シーモア・カッセル
パゴダ:クマール・パラーナ
ナレーター:アレック・ボールドウィン

【ストーリー】
テネンバウム家、天才ファミリー―――
名前だけが、彼らのつながり。求めるものは、心のつながり。


 ロイヤル・テネンバウム(ジーン・ハックマン)は、妻エセル(アンジェリカ・ヒューストン)と3人の子ども、チャス、リッチー、マーゴと静かに、平和に、いつまでもいっしょに暮らしたいと望んでいた。
 35歳で大邸宅を手に入れた。有能な法律家として、将来が嘱望されている身…と彼自身、そう勝手に思い込んでいた。
 しかし、エセルへの「ほんのわずかな誠実さに欠けていた」ため、2人は別居した。
 悲しむ子どもたち…だが、長男のチャスだけはなぜか不機嫌で、冷ややかだった。
 エセルは子どもたちの教育に熱心で、空手やイタリア語、バレエを習わせ、子どもたちの才能を育んだ。やがて3人は「天才」と呼ばれるようになり、エセルは「天才一家」という著書を書き、ベストセラーとなった。

<チャスの部屋>
 チャスは自室で食事を取るほど時間を惜しんではワークセンターへ通った。経済誌を読み漁った。
 早熟のビジネスマン、だった。
 6年生のとき、ダルメシアン・マウスの交配に成功。リトル・トーキョーで売り出し、財を成した。10代にして国際金融に精通。不動産業に乗り出す。父親の別荘取得に際しては、専属のコンサルタントとして交渉のすべてを取り仕切った。
 しかし、あるとき父から左手の甲にBB弾を受けたショックがトラウマとなり、以後、父親不信に陥った。BB弾はいまなお手の甲に残っているが、なぜBB弾だったのか、本人も周囲の関係者もいまだに釈然としない。
 現在のチャス(ベン・スティラー)は2人の子持ち。ウージ・テネンバウム(ジョナ・メイヤーソン)、アリ・テネンバウム(グラント・ローゼンマイヤー)とともに、お揃いの〈アディダス〉のジャージを着こなし、過敏なまでに危険を避けて暮らしている。妻は飛行機事故で先立った。ビーグル犬のバックレーが、妻に先立たれたチャスの心を癒している。

<マーゴの部屋>
 長女マーゴは2歳のとき、テネンバウム家の養女に迎えられた。幼い頃から物語を創作するのが好きで、戯曲コンクールに応募し続け、じつに12歳で劇作家デビューを果たした。
 早熟の物書き、だった。
 懸賞金5万ドルを手にし、天才少女と謳われ、その後も「戯曲図書館」「舞台模型」「暗室」など、彼女いわく「絶望的な不条理劇」を連作した。
 創作に息詰まった12歳のとき、タバコの味を覚えた。アンニュイな自分が可愛い、と彼女が言ったかどうか、定かではないが。
 そんなある晩、弟リッチーを連れ出し家出。公立図書館のアフリカ横に侵入。寝袋の中で眠り、クラッカーを食べ、アフリカを舞台にした不条理劇の構想を練った。しかし、図書館泊まり込みが発覚。家に戻される。
 「ラコステ」のワンピースを愛用し、目の下に奇妙な化粧をする癖のあるマーゴ(グウィネス・パルトロー)は、図書館泊まり込み事件から4年後、本当に家出。失踪した。
 世界各国を旅し、あるときはヒッピーになり、またあるときは先住民族の仲間になったりと、「創作のためのキャラバン」を続けた。
 実の父親を訪ねてある種族の薪割りの儀に出席した際、誤って指を一本失うが、本人は案外けろっとしていて、木造の義指を付け、今日に至っている。現在は神経学者のラレイ・シンクレア(ビル・マーレイ)と結婚している。

<リッチーの部屋>
 リッチーは3年生の頃からテニス界に「リッチーあり」と騒がれた。チャンピオンだった。将来は当然プロのプレイヤーと嘱望され、彼自身、それが「天職」とわきまえていた。
 早熟のテニス・プレイヤー、だった。
 アマチュア無線にも凝り、ドラムを叩き、世界のあらゆるミニカーを収集していった。
 17歳でテニスの国内大会3連覇を達成。前人未到の不滅の大記録だった。テニス・プレイヤーだけに、身につけるのはすべて「フィラ」ブランドという徹底ぶり。
 成人したリッチー(ルーク・ウィルソン)は、当然、プロとして活躍。しかし、ある国際マッチの決勝戦という大舞台で、突然、テニスをすることを放棄してしまう。
 何が彼をそうさせたのか…。
 以来、リッチーは〈幻のプレイヤー〉となり、姿を消した。
 リッチーの戸惑い…それはマーゴへの愛だったのだ! 幼馴染みで、テネンバウム家の向かいに住む、少々、偏屈な性格のイーライもまた、マーゴへ思いを寄せていた。いまや文学界の名士となったイーライ(オーウェン・ウィルソン)は成人してもなお、マーゴを思い続けていた。

 ロイヤルとエセル夫妻と、天才と謳われた3人の子どもたちの、テネンバウム家22年の変転は、裏切りと失敗と奇行の歴史だった。
 そして、いままた、新たな歴史が始まろうとしている。
 ロイヤルは、永年住み慣れたリンドバーグ・パレスというホテルから追い出されようとしていた。
 有能な弁護士だったが、自業自得のある事件がきっかけで資格を剥奪され、以後、流転のような人生を送っていた。
 部屋代の滞納によって、追い出されるのは時間の問題だった。エレベーターマンの親友ダスティ(シーモア・カッセル)も、ロイヤルの落ち込みには同情を寄せていたが、もはやどうすることもできなかった。
 かつてロイヤルを殺そうとして果たせず、そのまま彼の執事になってしまったパゴダ(クマール・グローバー)もまた、ロイヤルのこのところの元気のなさには心を痛めていた。
 そんなロイヤルに追い打ちをかけるかのように飛び込んできた一大事!
 なっなんと、考古学者となったエセルに、会計士のヘンリー・シャーマン(ダニー・グローヴァー)という男性が求婚したというのだ。「彼女はまだ私の妻だ。あんな三流の会計士に勝手させてたまるかっ!」
 天下の一大事とばかりに大騒ぎするロイヤル。当のエセルは、シャーマンからの求婚を受けようとしていた。
 ということは、ロイヤルと正式に離婚するということ。ロイヤルの心中はますます穏やかではなかった。
「君や子どもたちともう一度、いっしょに暮らしたい」
 ロイヤルは正気とは思えないことを言い出した。呆れるエセルに対して、さらに追い打ちをかけるかのように、「私は死ぬのだ。あと6週間の命なんだ。最後くらい家族といっしょにいたい」と告げるのだった。
 かくして、テネンバウム家は22年ぶり、一つ同じ屋根の下で暮らすこととなった。ロイヤルの余命6週間…家族再生となるのだろうか?
「残された6週間で家族の関係を修復しよう。チャンスをくれ」
 ロイヤルのその言葉に対し、BB弾の恨みを持ち続けるチャスは冷ややかに反発する。「嫌だ、断る」
 テネンバウム家の22年ぶりの生活、前途多難を予感させるのだった…。

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